マットBlog
Ombudsman オンブズマン
2013年7月16日
本日、知人の紹介で小グループのオンブズマンの活動に関する勉強会に参加した。
アメリカの大手企業オンブズマン組織から一人が来日しての3時間に及ぶプレゼンとなった。その3時間の補助的な通訳の役割も仰せつかったので、かなり緊張しながらの午後の一時となった。
オンブズマンというと正直ロビー活動を行うロビーストと、その差がよくわかっていなかった。企業によってもその形態は異なるが、ほとんどの場合オンブズマンは、企業に正規雇用されているが、企業内であくまでも中立性を保ちつつ、様々な案件に応じる人々なのだ。
さて様々な案件とは、どのようなものか。
基本的は、会社組織の様々な問題でガイダンスを受けたり、相談を必要とした場合に駆け込む場所なのだ。人事部やコンプライアンス部署では、公になりやすい為に秘匿性の高いオンブズマンプログラムを利用する。相談内容も多岐にわたっており、人事査定が悪かった場合や、同僚間の摩擦など様々だ。
相談に対応するオンブズマンは、決して決断を下さない。あくまでも話を聞き、場合によってはいくつかの選択肢を与える。また、社内の特定の人間に相談をするようにと薦める場合もあるようだ。大切なのは、オンブズマンは答えを与えないこと。あくまでも依頼した側に答えをだしてもらうことなのだ。
更に守秘義務も徹底しており、彼らオンブズマンは決して電子メールでのやりとりは行わない。それでは記録に残ってしまうし、社内のシステム部門は電子メールを閲覧しようと思えば、技術的には可能だからだそうだ。ほとんどの場合、オンブズマンは電話か直接の面談にて仕事を進めるようだ。
相談に要する1人当たりの平均時間は10時間。10時間、相手の話を聞き、相談に乗る。気の遠くなるような仕事だ。忍耐力は彼らにとって不可欠なのだ。
そもそもオンブズマンの活動は、企業トップにとって社内組織や近隣住民がどのような問題を会社に対してもっているのかという傾向性を発見する、或いは事前に予防するためのもの。
会社に対する信用が失墜すれば、企業そのもの価値が危うくなる時代だ。また、社内でのハラスメント等で訴訟などとなっても同様のReputation Riskは伴う。それに対しての予防的な意味がこのオンブズマンプログラムにはある。
日本ではまだまだ、認知されていないようだが欧州では積極的に取り組んでいるとのことだ。