音読の功罪について
先日、ロサンゼルスのYさんから以下の内容のメールを頂戴しました。差しさわりのない部分を皆さんと共有させて下さい。
そして、英語学習における音読の功罪について・・・皆さんはどのようにお考えでしょうか?
Y さんからのメール(抜粋)
先日、音読で読解力を上げた方のお話を聞き、猪口邦子議員(元教授)が毎日朝ごはん作りながら音読しているのが英語力キープに役立っているという話を思い出しました。とても英語のできる方です。
私はずっと音読には「罪」の部分もあるんじゃないかと思っています。黙読をしているときに、頭の中で「音読」してしまう。ゆえに遅くなる。我々が漢字を見て即、意味を理解するように、本当は長い英単語を見て、すぐに理解するのが理想です。私はまだ英文を読むときに「黙音読」してしまい、それで遅いんじゃないかと思っています。
子供が小さいころ、寝る前に膝に乗せて、本を読んでやりました。私は眠くて眠くて仕方がないけれど、なんとか最後まで読んで聞かせ、子供は「あー、面白かった!」と言ってくれる。ところが私は何が書いてあったのか、さっぱり覚えていない、理解していなかったことに気づいたことが何回かありました。
文字➡︎音を思い出す➡︎声に出す という作業と、
文字➡︎意味を理解する
という作業は別物。だから、国語の時間などで音読すると、音読するのにエネルギーを使い、意味を理解する余裕がない子がいなくても不思議じゃない。だから、意味を理解するには、むしろ黙読の方がいいのではないか?
と思っていたところ、10年くらい前ですが、「心理」か「児童心理」かに興味深い研究論文が出ていました。実験の結果、「(国語の)音読は理解の促進にはつながらない」ことが判明したと。
これは、音読はむしろ弊害じゃないか?という私の仮説は証明しないけれども、国語の授業のやり方に一石を投じるもの。
外国語の音読は別問題でしょう。マットさんがおっしゃっていたように、録音して発音の確認をするのは良い勉強だと思います。だけれども、最終的には、漢字から意味を取るように、ネイティブの速読のように、アルファベットの塊を見て意味が直接つかめるようになりたいと思っているので、私は声に出すのはシャドウイングで頑張りたいと思います。人それぞれですね。
長い文章読ませて申し訳ございません。何か、ご存知の研究がございましたら、教えてください。
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という内容のものでした。Yさんの英語運用能力は日本人としてもトップクラスだと思います。そして習得方法についてもいまだに探求されていらっしゃいます。
時々ですがL.A.で話題になっているニュースもシェアして頂いています。
【音読について】
確かに音読に関しては一長一短はあるようですね。
私はこんな風に考えています。
音読は助走的な役割で、滑走路を離れ離陸した段階で黙読へと移っていくというものです。
【音読と黙読は学習者の段階で使い分けるべき?】
もう一つは、同じようなことかもしれませんが英語学習者のレベルにも依るところが大きいと思います。
学習者の段階では音読をうまく取り入れていく、「学習者」という立場を終えたのであれば(修めた)音読は必須アイテムではないのではと考えます。
【日本人として英文を読む際に絶対にしてはいけない2つの掟】
実はメールでも指摘されている、音読が習慣になると英文を読むと頭に音が流れてしまい自ずと読むスピードにブレーキがかかってしまう、ということはあります。
事実、友人でビジネス英語を30年近く教えているアメリカ人の先生が日本人の学習者に対して一番強く訴えているのは、
① 音読を止めること。
② 戻り読みをしないこと。
このの二点です。
【読む時に唇を動かさない訓練とは?】
彼は長い間、外資系の保険会社で社員としてビジネス英語を教えてきましたが終始一貫してそのことを教えていたようです。
彼自身もコロンビア大で英語教育法を修めた時には、鉛筆を口に咥えて英文を読む訓練をしたと言っておりました。
なぜならアメリカ人でも知らず知らずのうちに英語を音読してしまうからだそうです。鉛筆を咥えることで唇を動かさないようにするそうです。
同じ意味で英語の大家でもある松本道弘氏も音読の弊害について指摘されています。
音読の習慣がついてしまうと速読は出来なくなると・・。
確かにその通りで読むスピードは音読以上に上げることは難しくなりますね。
ただ、こうした考え方は初学者から中級レベルの英語学習者には難しいのも事実です。
英語のリズム(読むリズム)が出来ていない段階で黙読一辺倒で進めると、音読のスピードにさえ達することが出来ないのではと考えています。
【とりあえずはネイティブの会話速度で読み、理解することが目標】
まずは、ネイティブさんが話す英語のスピード(150-200 wpm?)程度で英文を戻らずに読めること。読めるということは意味がとれてという条件が付きます。