英語力と世界のトレンドを同時にキャッチ!!

  マットBlog

Business English Proって何だ !? ②

昨日の続きでBusiness English Proについて少々説明をさえて欲しい。 この講座が始まって10年になるのだが、これまでは「ビジネス誌などを教材かして英語の勉強をする」と「英語で情報を収集する」の2点で運営をしてきた。 昨日のブログでも少しだけ書いたが、実はこれに加えて単に英語学習をするという目的から、記事情報を使って、未来のトレンドを描くこという要素も加えていきたいと思っている。 そんな事を考えていたら、BEProのここ2日に出た記事中に「オクラホマの企業が地元の教育水準の低さに辟易し、ポーランドに工場を作る」というものがあった。 ポーランドは10年程前までは、同じように教育水準が低かったのだが、この10年で大きく変革したということも。 同じポーランドのKey Wordで少し前のBEPro記事に「英国でポーランド人向けのクリニックが大盛況だ」というものがあった。ポーランドのクリニックは診療が丁寧で、診療時間が長いという評判だったと記憶している。 このことだけでも、いくつかの未来予測が可能だ。 まずはポーランドがその勤勉さを武器に世界に新たなサービスを展開してくる可能性。 かつての日本人の勤勉さと教育水準に似ているかもしれない。 もう一つは、労働者も単なる低賃金で労働力を買うというスタンスから、仕事・作業によっては、一定の教育水準が求められる。そうなると、教育が資本を動かす。別の言葉を使うのなら、教育水準とコストが今後の雇用市場を左右するという事が仮説として 立てられるのではないだろうか。 以下は、Business English Proを活用した仮説とシナリオ構築についての提案だ。

【Business English Proの未来シナリオ構築への応用】

  ある市場や業界とは直接的に関係の無さそうな分野で起こったトレンドや、生活者・社会の一端で起きていた変化が、いつの間にか巨大な潮流(メガトレンド)になってしまうことがあります。

また、昨今のグローバル化のインパクトは大きく、同じ現象が瞬時に世界中に伝播する傾向が強まっています。日々の生活の中で起こっている予測困難な変化事象を調べてみると、元々は遠い外国で起こったトレンドであったり、同じ現象が他国ではもっと早く起こっていたりすることが多く見受けられるのです。

突発的な、何かの事象の「芽」ともいえる小さな社会変化と、そこから読み取れる示唆を収集しビジネス環境にどのような「変化の予兆」が現れているのかを掴む手法、それがスキャニングです。

<未来シナリオ手法の概要>

  • 突発的な「未来の兆し」に関する定性データを用いて、想定外の未来の社会変化仮説を構築する方法。
  • 既存の社会トレンドや業界潮流とは異なり、かつ社会や生活者へのインパクトが強いと思われる世界の未来観(ニュース、視点)に関する情報を定性データ化する。
  • 「未来シナリオ手法」から、帰納的に未来の社会変化仮説を構築する。
Business English Proで英文記事を読む事からはじめて、複数の記事を組み合わせてクラスターを作り「未来の予兆」「変化の兆し」というものを考えながら読むことが、むしろ大切になります。 シナリオ レセプター(Receptor)を自らの中に持つと持たないとでは、情報感度が大きく異なってきます。 レセプターを持っていると、『この情報は、いつも疑問に思っていた案件と結びつくかもしれない』というように、点が線となり面にすることが出来ます。反対にレセプターを持っていないと単なる一つの情報として読み流してしまうだけになります。 レセプターを持つ、持たないは個々人の意識の問題となります。 シナリオ2

【参考 ①】 シナリオプランニングの重要性について

 21世紀初頭の「原油価格乱高下」シナリオの開発

2006年 5 月、ピーター・シュワルツはスティーブ・ウェーバー(UC バークレー教授)と共にGBN主催のビデオ・コンファレンスにて「エネルギーの未来」という表題の報告を行っている。 この中で筆者が注目したのは、彼らの開発した原油価格推移の予測カーブである。この予測は2004年前後に行われているので2005年を基点に2020年までの長期的な原油価格推移がグラフ化されている。この予測グラフによれば、2005年初頭は約60ドル/バレルであり、2007年前半に120ドル/バレル超に高騰してピークを打ち、2009年初め40ドル/バレルまで下落することになっている。現実には2008年7 月11日にピーク147ドル/バレル(ニューヨーク・マーカンタイル市場の取引価格)をつけ、2008年12月末、40ドル弱まで下落している。上記の2005年初頭より2008年12月末までの実績値とピーター・シュワルツらの長期予測値の比較を図表1に示す。

ピーター・シュワルツらの予測の特徴は単なる線形予測ではなく、原油価格の乱高下を見込む非線形予測となっている点にある。

現実の原油価格は上記のように2008年 7 月上旬に逆V 字型ピークを打ち、その後、急激に下落したが、2008年12月末時点では底値はみえていない。彼らはこのような原油価格の乱高下パターンを「スーパー・スパイク」と呼んでいる。

ところでシュワルツらはなぜこのような非線形予測ができたのであろうか。彼らはその理由を「サプライズ」シナリオを想定しているためであると説明する。急激な原油価格の高騰はBRIC s(ブラジルロシア、インド、中国の 4 カ国)の経済高度成長による石油需要の急増によってもたらされる。しかしながら、いくつかのサプライズが起きて石油需要が減る。その結果、原油価格の下落が起きると予測している。そのサプライズとして、( 1 )中国とインド(以下、中印と称す)の経済バブル崩壊、( 2 )世界恐慌、( 3 )戦争、( 4 )地球の急激な気候変化、( 5 )省エネルギー技術革新、の 5 つが想定されている。

「サプライズ」シナリオの検証

ピーター・シュワルツらが2004年前後に予測した2007年から08年にかけて起きる 5 つの「サプライズ」現象で、2009年初頭時点である程度検証できるのは主に( 1 )中印の経済バブル崩壊、( 2 )世界恐慌、( 3 )戦争の 3 つである。これらのサプライズはお互いに関連している。2008年に起きた現実世界を観察すると、高度成長を続ける中印の経済バブル崩壊が先に起きたのではなく、サブプライム・ローン焦げ付きを発端に米国発金融危機がまず起きた。その後、米国市場への依存度の高い中印の経済にマイナス影響が出た。中国では米国向け輸出が停滞、インドでも米国向けIT 産業にかげりがみえている。2009年初頭現在、米国発金融危機の影響は、中印の経済にとどまらず、全世界の経済に影響し始め、ついに世界同時金融危機に陥った。

「世界恐慌」というサプライズ・シナリオ

輸出型のグローバル日本製造業にとって、米国市場が冷え込んだら、代わってBRIC s の市場が自立成長してくれれば、これほど急激な売り上げの落ち込みはなかったはずである。しかし残念ながら、今回の米国経済の行き詰まりで、BRICsの高度成長もストップした。BRIC s の一角を占める高成長ロシアは世界同時金融危機と原油価格暴落の影響で国家財政危機に陥っており、2008年12月にデフォルト(債務不履行)宣言したエクアドルと同様、デフォルト宣言するのではないかと危惧されている。巨大な潜在市場国である中印も、まだ米国に代わって世界経済の牽引役になることはできなかったといえる。つまり広域アジアに自立経済圏はまだ確立されていなかったということである。80年代から90年代にかけて日本主導の東アジア経済圏(円経済圏)の構築に失敗したことが、今日の日本の苦境を招いているとみることができる。シナリオ3

さてピーター・シュワルツらは2004年前後における原油価格予測の際、2007年から08年にかけて「世界恐慌」の可能性のあることを想定していた。だからこそ、その時期に原油価格下落を見込んでいるわけである。しかしながら、彼らは世界恐慌のきっかけが中印の経済バブル崩壊にあると想定していたかどうかは不明である。なお米国発金融危機の勃発については明確に想定してはいなかった。きっかけはともかく、現実に2008年から09年にかけて世界恐慌が起きる可能性は高い。確かに世界恐慌になれば生産活動が停滞して石油需要が減少するのは明らかである。そして2009年のある時点で原油価格が下げ止まる。すなわち、この時期以降に世界恐慌が終焉し、落ち込んだ世界経済が再び回復することになる。

ところでシュワルツらは2009年における原油価格のV 字型反騰が何をきっかけに起こるのか明言していない。一般論として景気循環説に従えば、いったん崩壊した経済はいつか必ず回復するとみなせる。さらに超長期的には原油価格は必ず上がるとみなせる。なぜなら原油は人工再生の困難な有限エネルギーであり、超長期的な価格上昇は必然だという見方が成り立つからである。

なお図表1に示す原油価格実績値カーブは2008年末までには、まだ底を打っていないが、少なくともいずれどこかのポイントで下げ止まるはずである。

出典 The Importance of Scenario Planning as an MOT

The Implications to Japanese Companies through the U.S. Case Study  Hisatoshi Yamamoto