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英文ライティング Writing Course 2-4

【コラム:和文英訳のツボ②―「論理的に」考えよう】images (2)   前回のコラムでは、どんな簡単な英単語にも、1つ1つにルールや定義があることを述べました。今回は、英文を書く際の「考え方」についてみていきたいと思います。   第1回で英語は「論理的な」言語だと述べました。それと同時に、具体的な説明が要求される言葉でもあります。日本語で書かれた文章で時たま、抽象的な単語だけが並んでいるものを目にすることがあります。そうした日本文を無理やり翻訳しても、適切な英文とはなりません。具体的な説明が欠けているからです。簡単な例を挙げてみましょう。   「彼には幅広い人脈があるので、このプロジェクトに必要だ」   日本語として何の問題もない文ですが、これを詳しく分析してみます。上の文には2つの情報が含まれています。「彼には幅広い人脈がある」ということと、「彼はこのプロジェクトに必要だ」という2点です。上の日本文を翻訳すると、   We need him for this project because he has a wide human network.   ということになります。これだけでも英文としては通用します。ですがこの文には、文字として書かれていない「具体的な考え方」が隠れています。それは、幅広い人脈があると「なぜ」このプロジェクトに必要なのか、の具体的な説明です。   日本人であれば当然、「プロジェクトを成功させるために、その幅広い人脈をいろいろと利用できるからだ」と推測します。あえて文字にする必要もなく、暗黙の了解が成立します。ところが、英文、とくに書き言葉の英文ではこの暗黙の了解は成立しません。「いろいろと利用」としたうちの、「いろいろ」とは具体的に何かを説明することが求められます。つまり、彼の幅広い人脈を「いろいろと利用」すると、このプロジェクトにとってどういった好都合があるのか、を説明する必要があるわけです。   ここではそれを、新規顧客が開拓できる、としてみます。そうすると、   We need him for this project to use his wide human network, so that we can develop new clients.   という英文になります。つまり、新規顧客を開拓してこのプロジェクトを成功させるために必要なものは、「彼自身」よりも、彼が持っている「幅広い人脈」ということになります。そうすると、   We need his wide human network for this project to develop new clients.   こうすれば文が短くなりますが、「彼はこのプロジェクトに必要だ」という部分が抜けてしまいます。ここでは、1つの文の中に入れるのではなく、文を2つに分けて2番目の文として書いてみます。そうすると、   We need his wide human network to develop new clients. We have to have him for this project.   こうすると、一つの分がさらに短く簡潔になるとともに、最後に一文付け加えることで、自説を強調することもできます。   もう1つ例を挙げてみます。   「彼は先月、アジアセクションのマネージング・ディレクタ―に昇進した。入社してまだ2年なのに」をあえて和訳すると、   He was promoted last month to the managing director of the Asia section. He has been with us only for two years.   ところが、「まだ2年なのに」の解釈の仕方としては、
  1. まだ2年しか経っていないのだから経験不足のはず、だから彼では不十分で、
    1. 適当な人材は、彼以外の他にもいる。
    2. 私がそのポジションに就くべきだ。
  2. たった2年でマネージング・ディレクタ―になるとはすごい、
    1. 彼はよほど優秀なのだろう。
    2. 上司にかなりへつらったに違いない。
  などが考えられます。つまり、上の英文は、文法上は完璧な英文でも、まだ未完成な英文なのです。英文として完結させるには、書き手がどのケースを考えているのかまで読み手に伝える必要があります。会話であれば、怒ったり悔しがったり、がっくり肩を落としてうなだれてみたりのしぐさや表情で、話を聞く方は「あぁ、この人は悔しいんだな、落胆しているんだな」と分かります。しかし、書き言葉では文字のほかに情報を伝達する手段がありません。読み手を惑わせない英文を書くには、ここまで具体的な事柄を把握する必要があるのです。