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英文ライティング Writing Course 2-3
2013年10月16日
前回まで、2パラグラフ・サマリーの書き方について説明してきました。ここからは、英文を書く際の基本ルールについて簡単に触れておきたいと思います。第1回で、1つの文の長さは大体30語前後、長くなる場合には2つに分けることを説明しました。これ以外にもいくつか基本的なルールを挙げておきます。
① 受動態ではなく、能動態を心がける。
日本の新聞報道などではよく、「~が明らかになった」「~と思われる」という表現が登場します。英語にすると、「It was disclosed that ~」「 It is believed that ~」などです。これは、情報ソースを守る・明らかにしない、という考え方によるものですが、受動態の文でも不自然な文章に感じられないという日本語の特徴にもよるものです。これが英文になると、「~が明らかになった」のなら誰がそれを明らかにしたのか、「~と思われる」のなら誰がそう思っているのかを明確にする必要があります。人物などを特定することが難しい場合には、「Government officials」といった、ボカした言い方をする場合もあります。
② 「Big words」の使用をさける。
「Big words」とは、英語にすると大仰な感じになってしまう言葉のことです。例えば
「approximately」は「約~、おおよそ」という意味ですが、単に「about」で置き換えられます。「immediately」などもそうです。「soon」で十分です。これ以外にも、「said」の代わりに「stated」を使ったり、「start」「beginning」の代わりに「outset」を使ったりなどの例が見られます。こうしたbig wordsを使いたがる人は、日本人だけではなくネイティブにも見られます。日本人が使う場合は、読み手に対して丁寧な言葉遣いをしようとする姿勢や、自分を印象付けようとの狙いがあるようですが、かえって逆効果になりかねません。読み手に自分を印象付けたいのであれば、シンプルで分かりやすい言葉を使った平易な英文を心がけるのが一番です。
③ 文の頭に数字を使わない。
これは、統計やアンケート結果など、数字がメインになる場合の文でも同様です。例えば、統計の結果などで「35パーセントの日本人が…」と文を始めたい場合は、「About one third of the Japanese …」とします。どうしても35パーセントという数字を文の中に入れる必要がある場合には、文の後半に入れるか、文を2つに分けて2番目の文の中に入れるようにします。
④ 最初のパラグラフの文中には、なるべく数字は入れない。
第1文の中にはなるべく具体的な数字は入れないようにしましょう。第1文は、文章全体が何を言いたいのかを読者に伝える最も重要な部分です。ここで35パーセントや、2,879人、419万円などの具体的を挙げることは避けましょう。比較できる数字(売り上げの前年との比較など)がある場合には、「plunge」「soar」「jump」「rose marginally」などの表現にとどめるようにします。どうしても必要な場合は、人口の約1割、売り上げの半分、などの言い方が使える表現を考えましょう。
⑤ 主語と動詞の間はなるべく離さない。
主語と動詞の関係は、「何が」「どうした」を表す文の根幹です。この間があまり離れすぎると、文を読んでいるうちに何が主語だったのか分からなくなってしまいます。動詞にたどり着いた時に、また文の頭に戻って主語を探すという作業が必要になり、読み手をいらいらさせることになってしまいます。
下の文は、文部科学省と財団法人の英語教育協議会が共同で、英語教育推進のためのウェブサイトを開設したときの文ですが、主語(The Report)と動詞(defines)が離れすぎている上に、情報を詰め込みすぎて文が長くなり、典型的な悪文になっています。
こうした文章になってしまわないように気をつけましょう。
The Report “Five Proposals and Specific Measures for Developing Proficiency in English for International Communication.” drawn up by the Commission on the Development of Foreign Language Proficiency in June 2011, defines the foreign language abilities needed in today's globalized society as the ability to actively communicate with people of different countries and cultures, to make logical and reasoned explanation of one' s own views, and to convince and persuade others.
⑥ 専門用語(jargon)の使用をさける。
最近であれば、「twitter」や「facebook」などは一般的な用語として世間に認知されているとしてもいいかもしれません。ですが、数年前までは、「memory chips」はそのまま使える言葉ではありませんでした。「a digital-data storage device」などとしていました。社内メールや同業者など、専門用語が通じる相手が読み手の場合は構いませんが、一般読者が読み手の場合はそうはいきません。化学分野での特殊な物質などは、「a chemical substance to cause ~」などの言い方が使えます。固有名詞を使う場合でも、「a chemical substance to cause ~, or called ○○」とします。
⑦ 適切な単語を選ぶ
日本語では同じ表現になっても、ニュアンスが違う言葉があります。例えば、「問題」という言葉一つを例にとってみても、 下のような三通りの場合が考えられます。
その委員会では、外交問題の議論にかなりの時間が割かれた。
The committee spent a lot of time discussing diplomatic issues.
(彼を)このチームの一員とするには彼には問題が多すぎる。
He has too many problems to join this team.
彼はこのチームで数々の(多くの)問題を起こした。
He caused a lot of troubles in this team.
よく、「彼はトラブル・メーカーだ」という言い方をしますが、「プロブレム・メーカー」という言い方はしません。それぞれの文脈に沿った適切な単語を選ばなければ、文法だけはあっていても、ちぐはぐな文章になりかねません。このことについては、次回のコラムの中で、詳しく述べるつもりです。
⑧ 修飾語・文節
名詞を修飾する言葉・文節(which や that、 regarding で始まるもの)は、できるだけ修飾する言葉の近くに置きます。あまり離れすぎてしまうと、どの言葉を修飾しているのか分からなくなってしまいます。
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