「おやじシューズ」がZ世代にハマった理由 How “Dad’s Shoes” Won Gen Z

2025年7月17日

今回の記事は「「おやじシューズ」がZ世代にハマった理由」という内容です。さていったいどのような内容なのでしょうか。

今回のポッドキャストです。お聴き下さい。

本日のSentence

Before Nike and Adidas became popular, New Balance was already loved by baseball players and other athletes.

ナイキやアディダスが人気を得る前から、ニューバランスはすでに野球選手やアスリートの間で支持されていた。

ボキャブラリー

Slogan	noun	広告や宣伝で使われる、印象的で覚えやすいフレーズ
Endorse	verb	公に承認または支持すると宣言する
Chunky	adj	分厚くてごつい形やデザインをしている（特に靴やアクセサリーに使われる）
Sign	verb	文書に自分の名前を書き、その条項（特に正式な契約書）に同意したことを示す
By chance	other	計画も意図もなく

日本語訳

スニーカーと聞くと、多くの人はナイキやアディダスを思い浮かべるだろう。しかし、実はもっと歴史があって、年々成長しているブランドがある。それが「ニューバランス」だ。ニューバランスは1906年、イギリスから移民してきたウィリアム・J・ライリーによってアメリカ・ボストンで創業された。長い間、ニューバランスのスニーカーは「ダッド・シューズ（おやじシューズ）」とバカにされることもあった。だが、今やそのイメージは一変。イケてるスニーカーとして再び注目を集めている。そしてその変化は、偶然ではなかった。

ナイキやアディダスが人気を得る前から、ニューバランスはすでに野球選手やアスリートの間で支持されていた。しかし1980年代〜90年代、ナイキはマイケル・ジョーダンのような有名アスリートの影響で爆発的に人気となる。一方で、ニューバランスは違う道を選んだ。「誰にも支持されていない（Endorsed by No One）」という逆張りのスローガンを打ち出した。また、その大きくてゴツいスニーカーをバカにされると、今度は「ロンドンのスーパーモデルとオハイオのおやじが履くスニーカー（Worn by supermodels in London and dads in Ohio）」という自虐的なキャッチコピーで切り返した。こうしたユーモアが、「ダサい」から「イケてる」への転換を後押しした。

2013年には、アメリカの人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ（SNL）』が、「Dad Raps – New Balance」というパロディCMを放送。郊外に住むおやじたちが芝生の手入れやバーベキューについてラップするという内容で、全員がニューバランスのスニーカーを履いていた。このネタは爆笑を呼んだが、同時にニューバランスが単なるスニーカーブランドではなく、ポップカルチャーの一部となったことを示していた。

近年、ニューバランスは有名になる前の若いアスリートをいち早く起用する戦略をとっている。たとえば2023年には、バスケットボールのクーパー・フラッグと契約。彼は今年のNBAドラフトで1位指名を受けた。また、2018年には当時14歳のテニス選手ココ・ガウフと契約し、彼女は2023年に全米オープン、今年は全仏オープンで優勝した。

創業119年のニューバランスは、2022年から2024年のあいだに世界売上を27%伸ばし、昨年は78億ドルを記録。ナイキやアディダスには届かないが、着実に支持を広げている。調査会社ハリス・ポールのデータによると、Z世代の心もつかんでいるとのこと。つまり――「おやじシューズ」は、イケてるスニーカーの仲間入りを果たしたのだ。