マーク・ピーターセン先生のインタビュー 日経17日朝刊
2013年9月17日
ピーターセン明大教授に聞く リスニング・発音は改善
日本人の英語に詳しい明治大学政治経済学部マーク・ピーターセン教授に聞いた。
語学は「楽器やスポーツと同じ」と指摘する
――最近の英語教育をどう思うか。
「日本の英語教育は内容が薄いと思う。かつて『日本人は文法に詳しく、読み書きはできるが会話ができない』という神話があった。でもあの頃も今も全然書けていないし、読んでも理解しているとは思えない」
――例えば。
「中学生向けの英語教科書の80語の短い文中にも、ネーティブとしておかしく感じる部分が10カ所ある。冠詞の使い方、文章の切り方、代名詞の使い方などだ。教えていない文法を使わない『配慮』が原因で、無理が起きている。優秀な日本人が仕事で電子メールを送るときも、英語が拙くもったいない。単数形と複数形を使いこなせなければ、印象は良くない」
――大学生の英語力をどう考えるか。
「リスニングと発音は20年前と比べて改善されている。教師の英語力が向上し、電子機器の普及で24時間英語が聞けるようになったためだ。反対に、英文を読めなくなったような気がする。大学入試でも英文和訳の成績が一番悪い」
「教科書に載っている『長文』も、一文が年々短くなっている。少し長い文章になると一文のなかの理屈がわからなくなる。これが読解力が下がった主因だと思う」
――改善すべきは?
「外国語は自発的に学習するもの。楽器やスポーツと同じ。『6年も習ったのに英語が使えない』という意見を聞くが、使えるようになる練習をしていないだけだ」