マットBlog
実は、現在社会人向けの大学院の生徒をやっています。後期の授業が9月からまた始まりました。 同時に後期は北陸にある大学院の講師として講義の為にあちらに定期的に飛ぶという、まさに東京都--石川間で離れ業を行います。
昨日の講義は自分にとって非常に面白いものだったので、ここで書かせていただきます。
講義はヒットコンテンツの事例を学ぶものなのです。 そして昨日のゲスト講師は、元・博報堂の佐藤夏生さん。
現在、佐藤さんはご自身の会社 HAKUHODO The Dayを経営されています。
彼いわく ヒット商品を作る人間のタイプは二つに大別される。
① 職人的気質で、とことん良いものを、斬新なものを作って世に問うタイプ。
② 世の中の声を聴きながら、何が流行るのか?世の中の声に応えてヒットを送り出すタイプ。
1はかなり才能に恵まれて、カリスマ性がないと難しいようです。
一方、後者は努力、経験次第ではヒットを生み出せる、と佐藤さんは言う。
何を隠そう、彼も後者だそうである。
自分がやりたい事と、社会が求めることが交わらなければならないそうだ。
そこで、彼が手がけた作品を見せてもらった。 これはメルセデス・ベンツのA-Classのマーケティングのために作られたものだ。
佐藤さんは、「車の魅力はずばり グルーブで、それをクルマ離れしている若者に知らせたい」というコンセプトでこの映像は作られた。
それにしても、アニメーションとベンツですか? そう正直思ったのだが、見終わって妙に納得してしまった。
ここに登場する3人は、24歳、29歳、34歳の設定だそうだ。
そして、今は世間で受けるキャラクターは、完璧のスーパーマンではなく、むしろ何かひとつ欠けている人間であると。
年齢もひとつ欠けているし、それぞれ個性は持っていながら一人ではどこか頼りない3人。 設定もかなり細かい。
中に出てくるA-Classモデルも、実際にドイツからCADデータをもらって作っているし、佐藤さんは、商品であるこのクルマにデフォルメをかけてサイズを場面ごとに調整してしまっている。
今回のタイトルのヒットを生む秘訣は、このように説いておられた。
「才能というのは、外に出すものではない。むしろ才能は、世の中で何がおきて、何を求めているのかを、察知できる能力だ。」
「出すのではなく、吸うのだ」 と語ってくれました。
また、モノづくり、プロジェクトをしていて不安を感じなければそれは失敗だ。不安を感じてはじめて成功に近づいているとも。
そして、創造するときの原動力はいつも怒りだと語ったのには、驚いた。
「自分は、作品等を作るときはいつも怒っている」と。
最後に、こんな質問をしてみた。
「社会で何が起きているかを知る能力と仰っていましたが、実生活では具体的にどのように社会を見ているのですか?そのコツはあるのですか?」と質問してみたのだ。
その回答として
「世の中で起きている普通の事を、疑うこと」だそうだ。
人間は、いつも見慣れている風景や、現象は、それが当たり前のものになってしまう。
それを疑え!と言っておられた。
BEProも、シナリオ・プランニングという考え方を取り入れようとしています。
普段、英語の学習のために記事を読む訓練をしていますが、それだけでは英語の勉強で終わってしまう。そこから一歩進めて、ひとつの記事、或いは複数の記事が何を示唆しているのか?
そんな事にアンテナを立てながら、読むのと読まないのでは、そもそも英文を読む喜びも違ってくる。
英語の記事内容を、理解しないことには、話にならない。だから読む訓練をする。「あっ!読めた」これで終わってはいけない。
読めたら次は「この記事と2週間前に読んだあの記事を組み合わせると、将来こんなことが起こりそうだ・・・」と仮定する。
ヒットは社会がついてこなければヒットにはならない。社会を観る。英語で観る。
とても大事なチャレンジだと思った。そして、ヒットコンテンツの講義を無理やりかもしれないが、BEPROに結び付けてしまった。