日本語訳
エミー賞は、テレビ業界で最も権威ある賞の一つで、優れた番組や俳優、脚本家、監督をはじめ、さまざまなクリエイターを表彰するものです。映画界のアカデミー賞にたとえられることも多く、どの番組や企業がテレビ業界を動かしているのかを映し出す存在でもあります。
第78回プライムタイム・エミー賞は、9月14日に開催されました。しかし今回、最も注目すべき点は、誰がトロフィーを手にしたかではなく、ノミネートされた作品が「どこから生まれたのか」だったのかもしれません。
長年、エミー賞では従来型のテレビネットワークが圧倒的な存在感を示してきました。しかし今では、競争の中心にいるのはストリーミング・プラットフォームです。ノミネート数ではHBO Maxが122件でトップとなり、Netflixが111件、Apple TVが87件で続きました。
これに対し、従来のテレビネットワークではABCが40件、CBSが32件、NBCが29件、Foxはわずか3件でした。上位3つのストリーミング・プラットフォームは、いずれも単独で、どの地上波ネットワークよりも多くのノミネートを獲得したことになります。
では、これらの数字はストリーミング業界にとって何を意味しているのでしょうか。
まず、単にたくさんの番組をそろえるだけでは、もはや十分ではありません。ストリーミング各社は視聴者の関心を奪い合っていますが、賞を獲得することによって、もう一本の人気シリーズ以上に価値のあるものを手に入れられる可能性があります。それは、「質の高い作品を提供するサービスだ」という評価です。
次に、ストリーミングサービス同士の競争そのものが、より多様になっています。かつてNetflixは、従来型テレビに挑む中心的な存在と見られていました。しかし現在では、Prime Video、Apple TV、Disney+、HBO Maxなど、多くのサービスが、作品の評価、加入者、そして文化的な影響力をめぐって競い合っています。
なかでもAppleの87件というノミネート数は注目に値します。というのも、Appleがストリーミング市場に参入したのはNetflixよりもかなり後だったからです。受賞レースで存在感を増していることは、配信作品の数が比較的少なくても、話題性の高い作品を継続的に生み出すことができれば、大きな影響力を持てることを示しています。
もう一つ重要な点があります。それは、「テレビ」と「ストリーミング」を分けて考える従来の境界線が、ますます曖昧になっていることです。エミー賞は今も「テレビ」を称える賞ですが、多くの視聴者にとって、その番組がどのような経路で画面に届くのかは、以前ほど重要ではなくなっているのかもしれません。視聴者が求めているのは、結局のところ「見る価値のある作品」なのです。
ただし、これはストリーミング企業にとって難しい経営課題も生み出します。意欲的なオリジナル作品は、賞の候補として注目を集め、新たな加入者を呼び込むことができます。その一方で、そうした作品の制作には非常に大きな費用がかかることもあります。
同時に、消費者の側も、お金を払って契約するサービスの数をより慎重に選ぶようになっています。
もはや問われているのは、「誰が最も多くのコンテンツを作れるか」ではありません。
これから重要になるのは、「これは見逃せない」と人々に思わせる作品を、誰が生み出せるのかということなのです。
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