さて、英文のサマリーライティング講座をもう少しだけのぞいてみましょう。
前回までは1回目の講座でしたが、今回は2回目の内容をご紹介します。
【第2回―情報に優先順位をつける2パラグラフWriting】
第1回では皆さんにサマリーについて説明し、実際に英文サマリーを書く経験をしてもらいました。第2回は、、1回目の内容をさらにステップアップさせた形の練習を行うとともに、英文を書く際の基本ルールを簡単に説明したいと思います。
前回は、与えられた英文を一つ、あるいは二つの短い文に要約するという練習でした。一つの文の長さは30語前後、二つの文の合計は最大で45語まで、というものでした。これは基本的に、最初のパラグラフ(段落)を構成する文を意識したものです。今回は、パラグラフ数をもう一つ増やして、2パラグラフで構成されるサマリーを書く練習をしてみます。
1パラグラフしかないサマリーと、2パラグラフで構成されるサマリーとでは何が違うのでしょうか。それは当然、文の中に盛り込める情報量です。ですが、パラグラフ数が2倍になったからといって、伝えられる情報量も2倍になるかというと、そうとは限りません。2パラグラフのサマリーでは、2番目のパラグラフは最初のパラグラフで述べたことを詳述する、あるいはバックアップするという役目があります。1つの例で見てみましょう。
Aという会社(Company A)の昨年の利益(純利益=net income)が63パーセント増加して35.4億円になりました。利益増の理由は、4月から開始した新しいプログラム、「Business English Reading」の好調な販売で、その売り上げは148億円となりました。ちなみに、35.4億円という純利益は、A社の154年の歴史の中で最高益で、2005年に記録した31.8億円を上回る新記録です。
この情報全部を1パラグラフの英文の中に盛り込むことはとても無理です。1パラグラフに2つの文を使っても、全部の情報を盛り込めるわけではありません。
例文①―1パラグラフで1つの文の場合
Company A’s net income last year soared 63 percent to mark a record high in its 154-year-old history, led by strong sales of the new program, Business English Reading.
例文②―1パラグラフで2つの文の場合
Company A’s net income last year soared 63 percent to 3.54 billion yen, the highest in its 154-year-old history. The profit gain was led by strong sales of the new program, Business English Reading, which started in April.
そこで、パラグラフ数をもう1つ増やして、2パラグラフにします。
例文③―2パラグラフの場合
Company A’s profit last year soared 63 percent to mark a record high in its 154-year-old history, led by strong sales of the new program, Business English Reading.
Net income totaled 3.54 billion yen, beating the previous record of 3.18 billion yen in 2005, after the sales of Business English Reading, which started in April, reached 14.8 billion yen.
こうすると、全ての情報をなんとか2パラグラフに収めることができました。しかしこれでは、1つの文の中に数字ばかりがいくつも入っていて、文章というより単なる数字の報告という感じになってしまいます。読む側からしても、読みづらい文章になってしまいます。単なる数字の報告であれば、文章として報告するよりもエクセル表を使った方がよほど分かりやすいはずです。後で詳しく述べますが、最初の文の中に数字は1つだけ、できれば全く使わないのが望ましい書き方です。
如何でしょうか? すこし理解が出来ていると思います。
【ブログ・作者のプライベートから】
明日から下期の講義が始まります。 昨年からスタートした北陸にある国立大学院での講義。 明日が初回となります。朝一番で小松に飛びます。
来年の2月までほぼ毎週、金沢(石川)にいく事になりますが、楽しい旅になると思います。