AIハードウェア競争の新局面――チップの次は「光」 AI’s Next Hardware Race: Moving Data with Light
今回の記事は「AIハードウェア競争の新局面――チップの次は「光」」という内容です。さていったいどのような内容なのでしょうか。
今回のポッドキャストです。お聴き下さい。
日本語訳
AIをめぐるハードウェア競争というと、通常は、より高速で高性能なチップを開発する競争として語られます。しかし、AIシステムの規模が拡大するにつれて、次の課題はチップそのものではなく、チップ同士がどのようにデータをやり取りするかになっていく可能性があります。
現在のAIデータセンターでは、数千個、そして規模によっては数十万個ものプロセッサーが接続されています。これらのチップは常に膨大な量のデータをやり取りする必要があるため、通信帯域、エネルギー効率、データ転送速度への負担がますます大きくなっています。研究者の間では、プロセッサー間で情報を移動させるだけでも多くの電力やチップ上のスペースが必要となり、それがAIをさらに大規模化するうえで大きな障害になる可能性が指摘されています。つまり、プロセッサー自体がどれだけ高性能になっても、データを十分な速さで移動できなければ、AIシステムはその性能を効率よく引き出せない可能性があるのです。
そこで注目されているのが、シリコンフォトニクスです。銅配線を流れる電気信号だけに頼るのではなく、光を利用するシステムでは、光のパルスを使ってデータを伝送します。光は、エネルギー損失を抑えながら大量の情報を送ることができるため、この技術を活用すれば、消費電力を大幅に増やすことなく、AIシステム間の通信を高速化できる可能性があります。
米政府も、フォトニクスを戦略的に重要なインフラとして位置づけつつあります。7月29日、半導体受託製造大手のGlobalFoundriesは、米商務省との間で、CHIPS法に基づく研究開発支援として3億ドルの交付が見込まれる基本合意書を締結したと発表しました。この資金は、光学材料、シリコンフォトニクス用ウエハー、先端パッケージングなどの研究開発を支援し、これらの技術の米国内での生産力を強化することを目的としています。
しかし、ここで別の弱点も浮かび上がっています。それがサプライチェーンです。中国はすでに、高速光通信部品に不可欠な材料であるリン化インジウム(InP)の輸出管理を強化しています。ロイターは6月、こうした輸出規制が供給不足やウエハー価格の大幅な上昇につながっており、世界的なAIデータセンターの拡大に対する懸念が高まっていると報じました。
つまり、これからのAIハードウェア競争は、単に「誰が最速のプロセッサーを作るのか」を競うだけではなくなるかもしれません。今後は、誰が「光」を制するのか、そしてその光を動かすために必要な材料、レーザー、トランシーバー、パッケージング技術を誰が確保するのかも、重要な競争軸になっていく可能性があります。
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