ダッシュボードの先を見る――データには今も人間の判断が必要な理由 Beyond the Dashboard: Why Data Still Needs Human Judgment
今回の記事は「ダッシュボードの先を見る――データには今も人間の判断が必要な理由」という内容です。さていったいどのような内容なのでしょうか。
今回のポッドキャストです。お聴き下さい。
日本語訳
今やデジタルダッシュボードは、企業だけでなく、学校、病院、公共機関など、さまざまな組織の意思決定に大きな影響を与えています。ダッシュボードを使えば、リーダーは業績を把握し、問題を見つけ、結果を比較できます。
しかし、数字を良くすることが、仕事そのものを良くすることよりも重要になってしまったら、何が起きるのでしょうか。
定量データには大きな価値があります。業務上の非効率、変化する顧客行動、そして経験や勘だけでは見落としてしまうパターンを明らかにしてくれるからです。
また、指標は大規模な組織に共通の言語を与えます。チームは基準値を設定し、進捗を継続的に確認し、共通の根拠に基づいて戦略について議論できるようになります。
しかし、一つの指標が成功のすべてを表すものとして扱われると、測定は危険なものになり得ます。
歴史学者のジェリー・Z・ミュラーは、著書『測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか』でこの問題を取り上げています。業績指標に過度に依存すると、専門家としての判断がゆがめられる可能性があると指摘しているのです。
グッドハートの法則は、一般に次のように表現されます。
「ある指標が目標になった瞬間、その指標は良い指標ではなくなる」
つまり、報酬や罰則が特定の数字に強く結びつくと、人々は本来求められている成果ではなく、その数字自体を良くすることに力を注ぎ始める可能性があります。
よく知られている事例が、米金融大手ウェルズ・ファーゴの問題です。
米当局の調査によると、厳しい販売目標を達成するよう強い圧力がかけられた結果、従業員が顧客の同意を得ずに数百万件もの口座を開設したり、金融商品を提供したりする行為につながりました。
販売実績の数字だけを見れば、好調な業績を示しているように見えたかもしれません。しかし、その数字の背後にあった行動は、顧客に損害を与え、銀行の信用も傷つけました。
このような状況では、多くの場合、二つの問題が生じます。
一つ目は、目標のすり替わりです。
組織は、販売件数、処理速度、四半期ごとの生産量など、最も数えやすいものに意識を集中させるようになります。その一方で、品質、信頼、創造性、長期的な価値といった、数値化しにくい重要な要素には十分な注意が払われなくなる可能性があります。
二つ目は、指標の攻略、いわゆる「システムの抜け道を利用すること」です。
従業員は、その指標が本来測ろうとしていた問題を解決しないまま、報告される数字だけを良くする方法を見つけるかもしれません。
だからといって、組織が目標をすべて捨てるべきだということではありません。
問題が大きくなりやすいのは、限定的な一つの指標が強い報酬や罰則と結びついているにもかかわらず、数字では表せない要素の確認や、別の根拠による検証が行われていない場合です。
したがって、リーダーは数字が改善しているかどうかだけでなく、その数字が人々にどのような行動を促しているのかも問う必要があります。
データは人間の判断に役立てるべきものであり、自動的に人間の判断に取って代わるべきものではありません。
ダッシュボード、表計算シート、AIを活用した分析ツールは、組織がより良い問いを立てるのに役立ちます。しかし、職場の士気、人間の判断、デザインの質、顧客からの信頼、そして意図しなかった結果まで、常に正確に捉えられるわけではありません。
指標が最も役に立つのは、絶対に正しい判定者としてではなく、進むべき方向を示す羅針盤として扱われるときです。
最後に問うべきことは、単に「目標を達成したか」ではありません。
「その目標を達成したことで、私たちは本当に望んでいた成果に近づいたのか」
そう問い直すことが重要なのです。
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