他がやらないことをやるHaat Haat Delivers Where Others Won’t
今回の記事は「他がやらないことをやるHaat」という内容です。さていったいどのような内容なのでしょうか。
今回のポッドキャストです。お聴き下さい。
本日のSentence
Haat, which helps deliver food to places where many homes don’t even have an address.
これは「住所のない家」にも食べ物を届けるイスラエルのスタートアップ企業、Haatついての物語です。
ボキャブラリー
| Startup | noun | 革新的な製品やサービスを導入することで、急成長を遂げることを目的に設立された新規事業 |
|---|---|---|
| Expand | verb | 規模、数、重要性を増す;新しい地域や市場に広がる |
| Accurate | adj | 細部まで正確である;間違いがない |
| Rapidly | adv | とても速く |
| Make up | phrasal verb | 全体の一部または割合を構成する |
日本語訳
イスラエルはしばしばガザでの戦争のニュースで取り上げられますが、今回の話題はそれとは異なります。これは「住所のない家」にも食べ物を届けるイスラエルのスタートアップ企業、**Haat(ハート)**についての物語です。
多くのデリバリーアプリ(Wolt や Uber Eats など)は、通りの名前や番地がはっきりしている大都市でしか利用できません。しかし Haat は、イスラエル北部の小さな町や貧しい地域に焦点を当てています。そこに住む多くの人はオンライン決済や銀行口座を持っていないため、普通のデリバリーサービスは利用できません。
Haat は人工知能(AI)と機械学習を使って、見つけにくい地域の地図を作成します。これにより、GPS の精度が向上し、配達員が最適なルートを見つけられるようになります。配達が完了するたびにシステムが学習し、次の配達の精度が上がります。ドライバーが到着すると現金を受け取り、その金額を顧客の Haat アプリ内のデジタルウォレットに追加します。顧客はそのウォレットを使って Amazon、Ikea、Netflix などでも買い物ができます。
最初は9軒のレストラン、数人のスタッフ、そして5人の配達員だけでしたが、今では3,000軒のレストランと提携し、5,000人以上のドライバーと300人の従業員を抱えています。Bloomberg によると、同社の売上は約2億5,000万ドルに達し、主要投資家から1,800万ドルの資金を得ています。。アラビア語で「運ぶ」という意味の “Haat” という名前は、他のデリバリーアプリに無視されがちな人々にサービスを届けたいという使命を表しています。
このアイデアを考えたのは、共同創業者で CEO の ハサン・アバシ氏です。彼が故郷のウム・アル=ファハムに戻ったとき、地元のレストランがヨーロッパのようにオンライン注文や配達を行っていないことに気づきました。2019年、彼はレストランのメニューをオンラインに掲載し、デリバリー注文を受けられるように支援しました。今では、Haat の配達が多くのレストランの売上の半分を占めるまでになっています。
アバシ氏は、Haat のビジネスモデルは世界の他の地域でも通用すると考えています。ヨーロッパやアフリカの一部では、人々がスマートフォンや資金を持ちながらも現金で支払うことを好む傾向があります。Haat は、正式な住所がなくても配達が可能であることを示すために、ギリシャやドイツなどへの進出を計画しています。
■ 未来予測(青) ■ 批評(赤) ■ 補足情報(緑)
【テーマ】Haat Delivers Where Others Won’t / 他がやらないことをやるHaat
Salsoulさん:
電波の届かない遠隔地へのアプローチとして、領空による気球や宇宙からの衛星によるネットワーク作りをするアプローチが取られていましたが、今回は、AIを利用して地図を作るアプローチが新たなトレンドになる変化の予兆でしょうか。後者は、デジタルツインのように仮想世界を作る常套手段ですが、リアルタイムによるデータアップデートや、データの独占利用が課題かと思います。オープンソースとして皆が最新の情報にアクセスできるようになる未来を期待します。
Akさん:
When I started working here, in a small Mediterranean village, many people did not have a bank account. After the Italian legal change, salaries must be paid in a traceable way, such as by bank transfer. The situation has changed. After the COVID, a lot of things go through online. However, it is not difficult to imagine that there are a lot of people on the earth who do not have a bank account. It means connecting those people to digitalized monetary service is required. That is what Haat aims to do, and it’s also the philosophy behind cash-on-delivery systems like 代引きサービス used by transport companies。
(日本語訳:私がここで働き始めた頃、この地中海沿岸の小さな村では、多くの人が銀行口座を持っていませんでした。その後、イタリアの法律が変わり、給料は銀行振込など「追跡可能な方法」で支払わなければならなくなり、状況は変化しました。COVID 以降は、多くのことがオンラインで行われるようになりましたが、世界には今もなお銀行口座を持たない人がたくさんいることは想像に難くありません。つまり、そうした人々をデジタル化された金融サービスにつなぐことが求められているのです。これこそが Haat の目指すところであり、運送会社が利用する代引きサービスの背後にある哲学でもあります。)
西木山さん:
“I predicted a future where niches have value, but only during a transitional period.
That’s why timing will matter most.”(日本語訳:私は、ニッチな領域に価値が生まれるのは「過渡期」に限られる未来を予測しました。だからこそ、タイミングこそが最も重要になるのです。)
ニッチな高付加価値のビジネスは過渡期に発生しやすく、ビジネスの性質上タイミングが最も大事になる未来を予測しました。
自分自身、ニッチなエリアを攻める化学メーカーに勤めており今回のビジネスモデルの話は非常に刺激になります。
ただこのハットがものすごく成長している背景には通貨・フィンテックの浸透度合いにおいてエリアのギャップが発生している現在だからとも言えるかと感じます。
つまり、キャッシュレス決済が浸透し切って仕舞えばビジネスが成り立たなくなる側面もあります。
だからこそ、今後もビジネスモデル自体の精緻さはもちろんの事、やり始めるタイミングが最も重要である未来になっていくと予測しました。
ともさんさん:
パンデミック以降もUber売上伸びて、2024年も二桁成長で137億ドルなんですね。
都市圏でない、移動手段の多くない方の生活インフラ側面にもなりそうですし。デジタルデバイス利用のポジティブな面ですね。競合をチャットgptくんに聞いたら、ソースに「マットイングリッシュ」出てきたのもちょっと面白かったです。
Super HIDEGAKIさん:
In Japan, we also have problems like food desert. Same to Haat, the bridge between businesses and people who have problems, or last-one-mile would become more important in this situation of decline population and aging society.
In my case, my hometown might become more inconvenient than now.
(日本語訳:日本でもフードデザートのような問題があります。Haat と同じように、企業と課題を抱える人々をつなぐ「ラストワンマイル」の橋渡しは、人口減少と高齢化が進む状況ではますます重要になっていくでしょう。私自身のケースでは、故郷は今よりもっと不便な場所になってしまうかもしれません。)
Hikaruさん:
オンラインのECサイトはスマートフォンのようなネットワークを使った端末が必要なので、急速な成長をみると、住所不定や貧しい地域でも、そういう端末が使える環境がある社会…ということなのでしょうか。
日本では指定の場所に届けてくれるフードデリバリーやGoもあるので、サービス自体は珍しくないですが、現金ユーザのオンライン決済を代行するというのは、全く思いつきませんでした。
高齢者が多い日本でも、困っている人を助けながらビジネスとしての利益を得られる隙間ビジネスが、まだ何かあるのかもしれないなと思わせてくれますね。
デバイスとプリンターさん:
ドローンや自動配送ロボットが普及すると、住所よりも正確な着地点・到着点の座標データが必要になるかと思います。Haatの技術は次世代配送手段のラストワンマイル問題を解決する技術として応用されるかもしれません。
ちーみーさん:
日本は地方にぱらぱらと散在してくらしている地域も多いので、このサービス日本に導入してもマッチしそうですね。
わたしの地元もお店まで行くのに絶対車が必要なエリアが多いので、ぜひとも進出して欲しいです。
合わせて見守りサービスなんかもオプションとしてあれば、すぐには会いにいけない距離にいるご家族の安否がわかったりできたら嬉しいですよね。
Jtさん:
I looked into the Haat AI system, which improves delivery accuracy even in areas without official addresses.
First, the system collects drivers’ movement data and records both successful and failed delivery locations. Based on this information, the AI estimates road shapes and building positions and corrects GPS errors.
Each successful delivery adds new data, allowing the system to refine optimal routes and update destination characteristics.
By combining multiple sources of information, the system can identify highly accurate locations without relying on formal addresses.
I believe this approach can work in many parts of the world where official addresses do not exist.
(日本語訳:私は、正式な住所が存在しない地域でも配達精度を高める Haat の AI システムについて調べてみました。まずこのシステムは、ドライバーの移動データを収集し、成功した配達地点と失敗した配達地点の両方を記録します。その情報に基づいて、AI が道路の形状や建物の位置を推定し、GPS の誤差を補正します。配達が成功するたびに新しいデータが加わり、最適なルートの精度が高まり、配達先の特徴もアップデートされていきます。複数の情報源を組み合わせることで、正式な住所に頼らずに、非常に正確な場所を特定できるのです。このアプローチは、正式な住所が整備されていない多くの地域でも機能しうると私は考えています。)
雨のち晴れさん:
「住所のない家」にも食べ物を届けるサービスが新たなビジネスになるというのが意外でした。
日本では基本全国津々浦々配達が可能です。「正式な住所がない」と思われる路上生活者やネットカフェを定宿にしている場合も、アマゾンやウーバーイーツは配達可能のようです。路上生活者の場合、コンビニ前とか駅前のロータリー付近と指定すれば受け取りができるようでした。こういうことが可能なのも日本の治安が良いおかげですね。
至れり尽くせりが溢れている日本で新たな隙間ビジネスを見つけるのは結構難しいですが、日本のサービスを海外に持っていけば新たなビジネスになるのではないか、と思いました。(日本人の価値観や文化が背景となって成り立っているものも多いので、簡単に輸出出来ないのかもしれませんが・・)
orangeさん:
AIと配達を使ったきめ細やかな地図は、個人情報とも言えますが、地域の政府に売り込むことができそうですね。ネット上に仮想ウオレットを作り、銀行口座同様に決済ができるのですよね。銀行口座、クレジットカード、地図があるドイツやギリシャでのメリットは少ないように思います。ドイツの現金払いが好まれているのはプライバシーの重視というか、購入履歴を管理されたくない人が多いと聞いたことがあります。このビジネスモデルとは相入れないのではと思いました。
nobotaさん:
Delivery to places without addresses was beyond my imagination. Seeing AI and eyes from space being utilized there, I truly sense humanity’s positive side in the growth process of such startups. I predict with hope that mechanisms to rescue people in difficult situations will continue to foster.
(日本語訳:住所のない場所への配達という発想は、私の想像を超えていました。そこに AI や「宇宙からの目(衛星)」が活用されているのを知ると、このようなスタートアップの成長のプロセスの中に、人類のポジティブな側面を強く感じます。困難な状況にいる人々を救う仕組みが、今後も育まれていくと、希望を込めて予測しています。)
Cooさん:
以前にもコメントした気がしますが、隙間を見つけられると、ビジネスチャンスがあるというのを実践されている様に感じました。
何処に隙間があるのか、見つけるのは容易ではないと思いますが、サービスを利用する側でも良いので今後も新しい何かを楽しみにしたいと思います。
おかえりさん:
多くの技術は出尽くしてる中で、領域と領域の間にあると言われる中でハットのモデルはまさしくなのかなと。フィンテック、インフラ、デリバリーのモデルを組み合わせるのはすごいですね。今回マップが役に立たない地方の小さい街というところも大企業も参入しない点でポイントなのかなと思いました。
ただアイディアだけでは、抜かされるというのを感じているので、彼らのブランド力なども良いのでしょうね。
M-san:
先進国のイスラエルで住所がしっかり定まっていなかったり、銀行口座を持てない住民がいることが不思議です。Haatがヘブライ語ではなく、アラビア語由来とありますから、イスラエルではマイノリティーなのかもしれませんね。それはともかく、GPS精度アップ、AI学習による最短ルート学習、現金支払い手段の優遇は着眼点がいいですね。またイスラエルはIT軍事のレベルが高いので、GPSの精度を高めたりAI応用が速かったり、国としての素地があるのでしょうか。一点よくわからなかったのは、現金支払いとHaatウォレットの関係です。ドライバーが現金を回収し、「顧客の」Haatアプリ内のデジタルウォレットに追加する」とありますが、ドライバーのウォレットではないでしょうか? 現金とデジタルウォレットを繋ぐビジネスモデルがよくわかりませんでした。
ごっチャン:
今回の記事と、今年1月のサプライチェーンのAIによる進化、
2022年の複数の移動手段を統合利用できるアプリ、今年6月の全自動運転車(ロボタクシー)の社会実装競争、
2024年のAIに財務管理を任せるサービスの可能性のトピックスから、
「AIの活用先のアイデアと社会課題の組み合わせが新しいビジネスを創出する」様子が窺えると感じました。
今回の記事が紹介しているビジネスモデルは、AIを利用して、既存のECとそれを利用できない潜在顧客の橋渡し、または補完をするものと思いました。
これは、バングラディシュで始まったマイクロファイナンスのように、既存のシステムがリーチしていない人々のニーズを満たす形でのビジネスと社会課題解決の両立の一例かと思います。
そして、AIやGPSなどの発達は、このような、既存システムの隙間を埋めるために大いに活用され、新しいビジネスモデルが今後も誕生していくものと感じた次第です。
【テーマ】996, 888, 955: Is Productivity Just a Number? / 996, 888, 955:生産性は単なる数字か?
orangeさん:
最先端技術やスタートアップ企業は主導権を握るのにはスピードが大事なので、長時間労働になりがちなのでしょうね。長時間労働の危険性が科学的に証明され何らかの規制があったとしても、事業を1秒でも先に進めたい経営側の意識と、契約で従業員の勤務時間が規制を越えられるのであれば、ブラック企業はなくならないと思います。労働人口の減少とAIが取って代わる仕事のバランスが上手く撮れると良いと思うのですが、仕事は一部の技術を持った人々に集中してしまうのでしょうね。そんな技術を持った人々が働き方の選択肢を持つ未来になると良いですね。
ポッドキャストの続きは
で!
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