炎鵬関の「さっ、ひっくり返そう」に隠れた論理構造 by YUKO先生
先日のポッドキャストでご紹介した西武・そごうのCM動画「さっ!ひっくり返そう」について関西の高等学校で英語の教鞭をとられているYUKO先生から以下のようなコメントが届きました。 皆さんの参考になればと思い、このブログにてシェアさせて頂きます。
以下・・・・
先日のマットさんが紹介してくださった炎鵬関の「さっ、ひっくり返そう」の動画は私も気に入っていました。シェアしていただいてありがとうございました。
ちょっと違った視点、「英文の論理構造」から見てみると面白いと思います。 以下は英文によく見られる主張パターンです。
譲歩(予想される反論とあらかじめ述べる) → But 主張(最も言いたいことを述べる) まとまった英文(パラグラフ)の論理の流れはBut以降に逆転し、そこが主張を持ってくるという型です。
授業ではButの前がマイナスの内容ならブルーのマーカーで線を引かせ、But以降はプラスに転じるのでピンクのマーカーで色分けして論理の流れを可視化させます。
訓練すると、生徒はButまでたどりつくと、それ以降はちゃぶ台をひっくり返すかのように正反対の内容になり、しかも「最も言いたいこと」にたどり着く「予測」ができるようになります。
もちろんHoweverパターンもありますよね。よくビリー君が「またhowever!?」と言ってますね。英文は最後まで聞かないと分からないってことですね。
日本語にも当てはまると言えます。よく生徒同士がケンカして、LINE上であやまったのに許してもらえないということがあります。
Aパターン 「ごめんね。でも、私も傷ついたの。」
Bパターン 「私も傷ついたの。でも、ごめんね。」 伝えている内容は同じなのに、印象が変わりますね。
「でも」の後は主張。すなわちBの方があやまる気持ちが伝わりやすい。
それなのに「ごめんね。でも・・・・・」の後が延々と続くことがよくあり、仲直りと程遠くなります。
炎鵬関の「さっ、ひっくり返そう」の文章も「しかし、」以降が主張になる。よってひっくり返すだけで見事な逆転劇が出来上がるわけです。But主張の論理パターンが鮮やかに体現化されていると思いました。
Aパターン
大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
土俵際、もはや絶体絶命。
Bパターン
土俵際、もはや絶体絶命。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
今こそ自分を貫くときだ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
それでも人々は無責任に言うだろう。
どうせ奇跡なんて起こらない。
わたしは、その言葉を信じない。
大逆転は、起こりうる。