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ゲスト講師 松原健二氏の講義

昨夜はゲスト講師として東京大学の松原健二氏がいらっしゃいました。松原健二 学歴、職歴はとても華々しい。東京大学大学院情報工学修士を修了し、(株)日立製作所に入社、メインフレームおよびスーパーコンピュータのCPU開発に参。この間、HP社と共同でマイクロプロセッサを開発された。MITにMBA留学の後、日本オラクル(株)に入社後、米国本社と連携しながらRDBおよびDBツールの開発。この間、2000年問題担当など営業支援活動も担当。
2001年(株)コーエーに入社、国内黎明期にあったオンラインゲームおよびモバイルゲーム事業を育てた。2007年に代表取締役社長に就任。2009年にテクモ株式会社との経営統合により発足したコーエーテクモホールディングス(株)および(株)コーエーテクモゲームスの代表取締役社長を務め、2010年11月に退任。
2011年3月ジンガジャパン(株)入社、5月代表取締役社長CEO就任。本年、同社を退社され現在は東京大学に籍を置かれている。
これだけを読むと、『自分とは関係ない世界の人ね』とそこで終わってしまうところですが、私は目の前で講義を受けて少し違う感想を持ちました。 同じような学歴や能力を持った人は数多いるのでしょうが、何故彼がこうした半生を歩んだのか(歩めたのか)?
その答えは、彼がコーエーの社長時代にエンジニア採用の基準にみることが出来ると思いました。今は、どの企業も即戦力を重視し、明日からでもその仕事ができる人材を探すところが多い。しかし、松原氏はポテンシャルの高い人間を人材として見ている。ゲーム会社に就職を希望する人間はゲームが好きである事は当たり前。それよりも、その人間がどれだけ学問を掘り下げて学んだのか、引出が多い人間なのかを見ると話されていました。
言い方を変えれば、表面的なスキルよりも根源的な力を持っている荒削りな人間を人材とみているという事でしょう。
つまり彼自身がそうした事を念頭に、職場を変え、渡米し現在はまた、東京大学で研究を進めている。ご本人に直接聞けなかったのだが、おそらく、安住(Comfort Zone)を好まない方なのでしょう。常に挑戦続けている印象を受けました。
2つの大きな組織の長をつとめた松原氏ですが、現在は東京大学の講義を事業化を試みているようです。(Stanfordなど海外の大学では多くの事業が起こされている)
これに関連して、本日の気になる特集記事が日本経済新聞に載っていたので紹介します。
「働く場所を選んではいられない」。金城麻希(25)は故郷の沖縄を離れ、3月からベトナム・ホーチミンの旅行会社で働き始めた。

■日本の縮図

 ベトナムで働くことを決めたのは中国留学から戻った昨年春、沖縄で見た光景がきっかけだ。観光の仕事を探したが、案内所も免税店も日本語が堪能な中国人が働き、自分が入り込む余地がないように見えた。
 沖縄県は2012年秋にシンガポールや中国などアジア諸国に29歳以下の若者を派遣した。3カ月間のインターンシップを通じ、現地で仕事を見つけてもらう狙いだ。20~24歳の県内失業率は12年に約14%と全国の約9%よりも一段と深刻。海外に活路を求めた。
 「沖縄は将来の日本の縮図だ」。インターンを支援する那覇市の人材会社社長、金城和光(53)は指摘する。台頭する新興国の人々は好条件の職を貪欲に求め、日本にも来る。あるIT(情報技術)企業の社長は「中国人もインド人も数カ月で日本の新聞を読むようになる。言葉の壁はない」と力説する。
 日本の若者はどうか。日本人の留学者数は10年に約5万8千人とピークの04年から3割減った。全体でみると「内向き志向」は変わらないが、変化の兆しも垣間見える。
 4月に東京大学理科2類に入学した山谷渓(18)。8月末には日本を離れ、米プリンストン大学に進む。「複雑な問題の解決力を身につけるには、専門が縦割りの国内大学よりも多角的な視点で学ぶ米国の大学が魅力的だった」。難関の米ハーバード大にも合格した。
 進学塾を手掛けるベネッセコーポレーションでは海外トップ大に直接進学を目指す特別コースの人気が高まっている。今春卒業の10人は山谷を含め全員がハーバードや米エールなどに進む。フェイスブックの浸透で海外校の情報も入手しやすくなり、若者の意識は静かに変わりつつある。

■チャンスつかむ

 日本企業の海外法人は約1万9千社と10年で1.5倍に増えた。この7割が「グローバル化を推進する人材の確保が課題」と悩んでいる。首相の安倍晋三は「意欲と能力に富むすべての学生に留学の機会を与えよう」と文部科学省に指示した。今こそ若者自身がこのチャンスをつかみとるときだ。
 世界を見渡すと、製造業の集積する新興国が、雇用や賃金を先進国から奪う局面が続いている。日本は子育て世帯の平均所得(10年に658万円)がピークの1996年から15.8%減った。日本の若者が雇用を世界の若者と奪い合う構図は今後も強まるだろう。
 意識を変えるべきなのは若者だけではない。内閣府によると学校を出た子供と同居する60歳以上の親の過半数が、子の生活費の面倒をみている。
 「子供に弁当を作るのはやめましょう」。法政大学は4月、新入生の保護者向けに就職説明会を開いた。子供の就活を手助けしようと学校や企業に電話をかける親が増えているからだ。キャリアセンター長の宮城まり子は「まずは親が子供から自立して」と諭すように話した。

 若者が働けない現状は欧米など先進各国に共通する悩みでもある。若者が自らを磨き、彼らが活躍する環境を社会が整える。そんな総力戦だけが日本の未来を救える。