ASML：世界最先端の製造装置メーカー ASML: Builder of World’s Most Advanced Manufacturing Machine

今回の記事は「ASML：世界最先端の製造装置メーカー」という内容です。さていったいどのような内容なのでしょうか。

今回のポッドキャストです。お聴き下さい。

 本日のSentence

For now, ASML continues to be the top maker of what some call “the world’s most important machine.”

現時点では、ASMLが「世界で最も重要な機械」とも呼ばれるこの装置のトップメーカーであり続けています。

 ボキャブラリー

 日本語訳

機械の時代は18世紀に始まりました。機械が人間の労働を置き換え始めたのです。そこから浮かぶ大きな問いがあります――人類がこれまでに作った最も高度な機械とは何でしょうか？スイス・ジュネーブ近郊にある世界最大の粒子加速器、CERNの大型ハドロン衝突型加速器（LHC）でしょうか？ それとも、日本のスーパーコンピューター「富岳」？ テスラの人型ロボット「オプティマス」や、宇宙の謎を解き明かすジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡かもしれません。しかし、ASMLのリソグラフィー装置も候補の一つとして見逃せません。

これらの機械はどれも、それぞれの分野で重要な役割を果たしています。しかし、ここではASMLの装置に焦点を当ててみましょう。この機械は「世界で最も先進的な製造装置」として知られています。

なぜASMLの機械はそれほど重要なのでしょうか？

理由はシンプルです。この機械を持つ人物や国が、今後のコンピューター、人工知能（AI）、そしてテクノロジーの未来を形作ることになるからだと、『エコノミスト』誌は指摘しています。

詳しく見てみましょう。

オランダにはアイントホーフェンという都市があります。ここは、かつてフィリップスが創業した場所です。そのすぐ近くに、ASMLの本社があります。ASMLは、世界で唯一、リソグラフィ装置を製造している企業です。この装置は、シリコンの上に極めて小さな回路パターンを印刷し、高度なAIチップを作るために使われます。

そのため、Nvidia（エヌビディア）、TSMC（台湾積体電路製造）、AMD、Intel、Samsung（サムスン）など、世界を代表する半導体企業は、すべてASMLの「極端紫外線（EUV）」リソグラフィ装置を必要としています。

ASMLの最新モデルはとても巨大で、海上輸送用コンテナ2個分ほどの大きさ、重さは約150トンもあります。価格はおよそ3億5,000万ドル（約530億円）にもなります。

この装置はどのように動くのでしょうか？

微小なスズの液滴にレーザーを照射して、太陽の表面の40倍の温度になるプラズマを作り出します。このプラズマから特殊な光が生まれ、その光が鏡で反射されてチップの設計図に当てられます。すると、その設計がシリコンシートに転写され、極めて小さく、しかし高性能なコンピュータチップが完成するのです。

中国をはじめとする各国も、自国でリソグラフィ装置を開発しようとしています。また、日本のキヤノンをはじめとする企業も、別の方式の装置を試していますが、いずれもまだASMLの技術水準には達していません。

現時点では、ASMLが「世界で最も重要な機械」とも呼ばれるこの装置のトップメーカーであり続けています。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、この機械を「世界で最も不可欠な機械」と評しています。