ドイツの賭け：「債務ブレーキ」を解除せよ Germany’s Gamble: Break the “Debt-brake”

2025年3月21日

今回の記事は「ドイツの賭け：「債務ブレーキ」を解除せよ」という内容です。さていったいどのような内容なのでしょうか。

今回のポッドキャストです。お聴き下さい。

本日のSentence

It’s a desperate situation, calling for desperate measures.

絶望的な状況であり、有効な打開策を必要としている。

ボキャブラリー

Inject	verb	何かを改善または成長させるために、資金・努力・資源などを投入する
Desperate	adj	ある状況が対処不可能なほど悪いという絶望的な感覚を感じている、示している、または伴っている
Objective	noun	目標
Alarmingly	adv	不安や恐怖を引き起こすような方法で
Carry out	phrasal verb	脅し、約束、命令を実行に移す

日本語訳

数ヶ月前に報じられたところによると、かつて世界の強国であり、今もヨーロッパ最大の経済大国であるドイツが、産業の衰退に苦しんでいる（"Will Europe’s Engine Become Sick Man..." 2023年10月6日付）。同国は4年間で1300億ユーロの予算不足に直面し、その成長予測は驚くほど低い。絶望的な状況であり、有効な打開策を必要としている。この問題を認識したドイツのフリードリヒ・メルツ次期首相候補は、国の産業を救うために「必要なことは何でもする」と述べた。

彼の計画はどのようなもので、成功する見込みはあるのだろうか？

メルツは、問題を解決するためなら支出を厭わないというスタンスでいる。ドイツの国防とインフラに「数千億ユーロを投入」するというのだ。当然ながら、これには産業が生産を拡大することが求められる。

この計画を実行するために、メルツ率いるキリスト教民主同盟（CDU）と社会民主党（SDP）の連立が計画されている。フィナンシャル・タイムズ紙の報道によれば、両党は、軍事強化と道路、橋、通信、エネルギーなどの公共インフラの近代化のための巨額投資を支持することで合意に達した。

この野心的な計画は、ドイツが数十年来掲げてきた「債務ブレーキ」政策からのUターンを意味する。債務ブレーキとは、政府が負うことのできる債務額を制限し、連邦政府の財政赤字が年間GDPの0.35％を超えてはならないという財政ルールである。

おそらく、ワシントンでドナルド・トランプとウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が「口喧嘩」をしたことで、その必要性はさらに高まった。トランプ大統領がロシアとの戦争に対するアメリカの支援を撤回したことで、ドイツ（そしてEUの他の国々）はすぐにウクライナへの軍事的支援をさらに強化することを約束した。その結果、次期ドイツ首相にとっては、ウクライナが戦争を継続できるよう十分な軍事装備を持つことが必要になった。しかし、最大の目的はもちろん、ドイツの産業と経済を復活させることだ。

大胆な計画だ。だが、うまくいくだろうか？

CNBCによれば、ドイツの財政Uターンは、低迷するドイツ経済にとって「ゲーム・チェンジャー」になるかもしれない。市場はメルツの発表に好意的な反応を示し、エコノミストやアナリストも同様だ。今後10年間で1兆ユーロの追加債務を抱える可能性のあるドイツの産業部門、特に製造業にとって、財政刺激策は信頼感を高める役割を果たすだろう。この計画が議会の承認を得て、経済の停滞から脱却する手助けとなることが期待されている。